駄文

ああ、何だろう。今、すごく、みっともない。そんな気分だ。
目に見えるものすべて素晴らしく、映るものすべて思っているより大きく見えていて、そう感じていて、どこか可笑しい。
「あー、もう、いいや。なんか。」
あなたがそういう感じの事を言う度に、また言ってるよ、って思うよ。
「なにが?」って、あたしはその度に笑いを堪えながら言うのもあなたは知ってるし、あなたは待っているんだとあたしは思っている。
「なァんでかなぁ、」
その今にも、すぐ笑ってしまいそうな、笑いを含んだ声とか、逆に本当に、明日になったら全部投げ出してるんじゃないかなって思う、本気でそう思ってる人にしか出せない雰囲気とか、好きだ。
「なんで、あん時殴っちゃったのかな〜ってさ、思うんだよ。後悔?でもさー、あいつが殴り返して来なかったら両方うまいこと済んだのによー…」
「いやいやいや、あれはあんたが完ッ璧に悪いッスよ。」
あたしが笑いを堪えられなくなって、笑いながら言う。
 そう、いっつもそう。あんたはそうやって全部他人のせいにする。他人のせいにして、自分が崩れてしまわないように、風に飛ばされないように、小さく屈んでいる。でも知ってるよ、あんたが弱いこと。みんな、皆が知ってる。でも皆がそれを知ってる上で、あんたを許してしまうことをあんただけが知らない。と言うことをあたしは知ってる。
「だから、なんかかっこわるいなー、俺って。」
それは、あんたを諦めてる訳じゃなくて、あんたに失望してる訳でもない。皆、すごいやつだ、って思ってるんだよ。それがなにをどういう意味ですごいって言ってるのかわかんないけど。何となく、あたしもあんたはすごいやつだって思ってる。信じてる。なんていうのかなぁ、負けちゃうんだよ。圧倒的で、でも威圧感は無くて、空みたいになんでも覆っちゃう雰囲気に。
「きょうもお疲れ様でした。」
何事もなかったかの様にあたしは笑って言う。そう言った時の、あなたのひと息ついた後の笑顔。それが堪らなく大好きなんだ。