この世はかくれんぼ

要はあれだろ、世界はかくれんぼで成り立ってるってことですよね。
みんな鬼で、みんな敵、みんな味方で、みんな隠れる。
隠れてる、隠してる。
親の名前だって、産まれた時には解らない。
なんか全然知らない人から産まれた人ばかり。
でもそれが、それって、疑問でもなんでもない事実で、
現実で、当たり前なんだと思う。
きみだって、君だってそう。知らなかったんだよ。あのひとも、あなたも、僕は知らなかった。
あなたも知らなかった。だけど、
だからこそ、そう考えていたから、会って、見て、その顔とか、存在は、
異様な程強烈に脳に電気を送るんだ。
異様に記憶に刻まれて、字の如く切り込まれるイメージで着床する。
素晴らしいことですよこれは。知らないんだから、知らなかったんだから
今、もう、知ってるってことは。

だけど、みんな次第に1抜ける。2も抜けて、
誰かが減ったことにも気付かなかったりする。
繋がっている訳ではないのだから。血が繋がっていても
気持ちは繋がっているんだと思っていても、
物理的に繋がっていないのだから、千切れたことには気付かない。

だから、痛くないから、
痛くないのと悲しくないのは別だけど、
現実味は徐々に、徐々に、現れる。

だから、気に病むことじゃないよ。