―あれ 俺 なんか言ったっけ   (なんか悪いことしたっけ)



「ほんとあんたって残酷だよね。」

目の前の彼女はなぜか急にぶっきらぼうになって、涙目で、窓の外を見ながら泣きそうな声で言った。
そこから続くのは、あんなに優しかったのにとか、どうしてわかんないのだとか。
要するに自分のこと何も分かってくれないから気に入らなくていきなり怒り出したんだろうと思った。

女ってのは本当に意味がわからない。
と、思ってみても男である俺にも男に生まれた意味がわからない。

わからないことだらけ。



―そう 私 わからないことだらけだから あんただったら あたしのこと分かるんじゃないか

そう思っていたのに、何もかもがうまくいかないわ。
先読みばかりして、いつも違う答に勝手に苛々して煙草ばっかり吸っているのは あたし。
わからないことしかないのに正常で、正気で、流されるようにあなたの前に居る あたし。

自分で選んだ答の筈なのに、結果はいつも予想外。



まるで貴方を利用したかっただけの様



―でもその眼は何かを訴えている訳ではなく、何かを与えたがっているように見えた

(そして その見返りも欲しがっているようにも見えた)



あ、俺が悪いのか



男で鈍感な自分に 虚しさと情けなさを感じた